「そういうもんなのか? 」

「そういうもんだと思っていました。」・・・ 発言した人にとっては、疑いもなく、当然のこととしてとらえている場合に、このような発言が聞かれます。私が、この言葉のちょっと恐ろしいなと思ったことは、『そういう風に思えば、考えないで済む』ということです。

「この膝の痛みは、数年前の手術の失敗から、膝がぐちゃぐちゃにされて、どうしようもないんだ。壊れているから治らないの。手術をあの若い先生にされた事が間違いだった。もう、どうしようもないの。膝は壊れているから、もう、治らないとあきらめている。」と続けます。

確かに、この方のふくらはぎと脛骨(脚のすねの骨)の境目、特に、膝下の筋肉部分を押すと痛みが出ます。この方は、これを膝の痛みととらえ、膝が壊れているから、この痛みは一生とれない、治らないと思っているのです。数分間、この膝下のふくらはぎと脛骨の境目をほぐしていくとやがて痛みは軽減し、最後には殆ど痛みは無くなります。膝関節の痛みもありましょうが、痛みはとれて楽になります。

また、この方は、左の腰の後ろに痛みがあると口にされます。話を聞いていると、いつも痛くてしょうがない様に聞こえてきます。「今は痛いのか?」を何度か確認させていただくと、「今は大丈夫、痛くない。」と応えられます。いつも痛いわけでは無いのです。この方は、一人で杖をついて長い時には3時間くらい歩いて用事をたしてくることもあるとご本人から聞いています。この結果、翌日に、痛みが出てきているように私には見えています。それにしても、3時間もリュックをしょって、両手に杖をついて、途中で腰掛けることも無く、自宅まで帰ってくる行動をとれる能力は、すごい事だと思います。

長年、膝の痛みは手術の失敗によるものと思ってきたことと、腰が痛いのはいつもだと思っているようなことは、この方にとって、「そういうもん」なのでしょう。『そういう風に思えば、考えなくて済む』のでしょう。

何をしたら膝の痛みを軽くすることができるのか? 何をしたら腰の痛みを軽くすることができるのか? を考えてみるように、私はこの方に問いかけ続けています。これからどうなりたいのか? リハビリ前とリハビリ後の変化は何か? 今日から自宅でも一人でできそうなことは何か? 外出する時に工夫することは何か? これらを言葉にすることは、慣れていないとなかなかできないことです。私たち、リハビリの仕事は、利用されている方の思いを『言語化』することでもあります。自分の『そういうもん』を別の視点から見てみることをあえて行う事は、年齢を重ねた方には、なおさら、意味があることと思っています。

げんきNAVI希望のつぼみ旭川東

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